四国の不文律・続篇(3)
- 2016/10/14
- 20:19
2016年の四国の遍路道で遭遇した掟破りの質問の話を続けます。第四話65番・三角寺と66番・雲辺寺の間にある徳島県池田町の「民宿岡田」でF爺が泊まった日、宿泊客は男ばかり四人でした(*)。(*) 前篇の第三話に出て来る遍路宿「安和乃里」の宿泊客も男ばかり四人でしたが、別に珍しいことではありません。歩き遍路の大多数は、一人歩きの男です。それが四人ぐらい同宿になることは、よくあります。最初にF爺が到着し、二番手は「つ...
四国の不文律・続篇(2)
- 2016/10/13
- 19:41
(記事の末尾に追記があります)2016年の遍路道で何度か、「お遍路さんに、遍路に出て来た訳(わけ)を訊いてはならない」という不文律を守らない人に遭遇しました。この篇では、その中でも特にF爺を震撼させた例を記述します。第三話高知県の36番札所・青龍寺と37番・岩本寺のちょうど真ん中ほどにある須崎(すさき)市安和(あわ)には、宿泊施設が二軒あります。どちらも民宿で、一軒は「民宿あわ」、もう一軒が「安和乃里」という名前...
四国の不文律・続篇(1)
- 2016/10/11
- 20:10
前置き四国には「お遍路さんに遍路に出たわけを訊(き)いてはならない」という不文律があります。掟(おきて)破りは、四国に住んでいる人の間では、ごくごく例外的にしか起こりません。この掟をまだご存じない方は、先にブログ記事〈四国の不文律〉と〈お遍路さんは「稀人」〉に目をお通しください。大多数の「歩き遍路(*)」が、この不文律を拠り所として、四国の外でも、その質問に答えることを固く拒否します。このことを念頭に置...
お遍路さんは「稀人」
- 2013/11/12
- 00:48
2013年8月某日。中山峠を越えた日に泊まったホテルのロビーで、夕食の時に隣のテーブルにいた浴衣姿の二人連れの爺様に話しかけられました。I爺さん 「隣のテーブルでしたね。お仕事ですか。観光旅行ですか」F爺 「どちらでもないんです。遍路です」J爺さん 「ほほう。お遍路さんですか。で、どちらから?」F爺 「フランスからです」I爺さんとJ爺さん「ええっ」というわけで話が弾むことになりました。お二人とも高知県のご...
四国の不文律
- 2013/11/09
- 21:14
(第三段落に追記があります)四国には、数百年来の不文律があります。「絶対に、お遍路さんに、遍路に出た理由や事情を訊いてはいけない」出家して修行のために札所から札所へと歩いて参拝する人は、昔のことは存じませんが、今は、ごく少数派のようです。昔は(*)、癩(らい)病(= 今で言う「ハンセン氏病」)に罹(かか)って故郷の村を追われ、四国に渡って、沿道の人の善意にすがって食べ物などを分けてもらいながら行き倒れになるま...