アルザスで大名行列と和太鼓
- 2017/02/28
- 21:46
講談社の広報小冊子『本』の1993年6月号に載った「アルザスは多言語社会」という文章の紹介の最終篇です。アルザスで大名行列と和太鼓余談ですが、昨年末は(*)、日本人が日本から百人近くもアルザスにやって来て、餅搗(もちつ)きやら神楽(かぐら)やら大名行列やら和太鼓の合奏やら、日本の祭を現出させて大喝采を受け、また風の如く去って行きました。(*) 1993年の「昨年」ですから、1992年のことです。西洋かぶれ日本人が日本の伝...
アルザス人をドイツ人呼ばわりするな
- 2017/02/23
- 21:09
講談社の広報小冊子『本』の1993年6月号に載った「アルザスは多言語社会」という文章の紹介の第3篇です。アルザス人の定義は複雑・・・アルザス人と親しくしようと思ったら決してしてはいけないことが一つあります。それは、アルザス人をアルザス人以外の何かと取り違えたり、一緒くたにしてしまったりすることです。「フランス国籍者」と「フランス人」は別の概念フランス国籍者だからといってヴォージュ山地の向こうの「内地」の...
アルザスは多民族社会
- 2017/02/18
- 20:17
講談社の広報小冊子『本』の1993年6月号に載った「アルザスは多言語社会」という文章の紹介の第二篇です。アルザスのユダヤ人アルザスには、また、アルザス人でない人もたくさん住んでいます。いつの頃からかアルザスに住み着いたユダヤ人は、長い間に西イディッシュ語(*)を話すようになっていました。(*)イディッシュ諸語は、大雑把に言うと「ゲルマン諸語にヘブライ語の語彙が大量に交じったもの」です。ゲルマン諸語の語域に住...
アルザスは戦争の度に国境が・・・
- 2017/02/16
- 21:04
講談社の広報小冊子『本』の1993年6月号に載った「アルザスは多言語社会」という文章の紹介を始めます。アルザス諸語は、「ドイツ語」よりも古くから存在するアルザス語というものがあります。アルザス人の母言語です。どんな言葉かっておっしゃいますか。ゲルマン語の仲間です。(*)(*) ドイツ中心主義者は、「アルザス語は、*ドイツ語の方言だ」と頑強に主張します。謂わゆる「ドイツ語」は、ドイツが国家として成立した(*)後で「...
日本人失格宣言
- 2017/02/12
- 20:41
三省堂の広報小冊子『ぶっくれっと』の1992年7月号に寄稿した文章の最終篇です。日本は日本文化を輸出せよ「日本は、外国の文化を吸収するだけでなく、独自の文化を『輸出』せよ」という声は、年々(*)高まる一方である。(*) 1992年頃の「年々」です。2017年には、あの頃に比べれば、状況はかなりマシになっています。私は数年前から(*)フランス人有志を集めて日本の歌を歌う合唱団(**)を指揮しているが、表面的な異国趣味を超えて...
乞われても日本の歌を歌おうとしない日本人
- 2017/02/01
- 21:04
三省堂の広報小冊子『ぶっくれっと』の1992年7月号に寄稿した文章の第六篇です。日本の歌を披露しない日本人学校別の町のある日本人学校(*)。「現地」との繋がりのためにと、一般人参観日を催したのだが、生徒たちがさして上手(じょうず)でもないロック音楽を披露して、地元のフランス人を呆れさせた。(*) アルザス南部の某所にあったのですが、今は廃校になっています。日本独特の何かを期待して来た人たちと、子供たちの日常ある...
日本語まがい
- 2017/01/29
- 21:23
三省堂の広報小冊子『ぶっくれっと』の1992年7月号に寄稿した文章の第五篇です。二話からなっています。第一話に〈夕食会に欠席の「理由」〉、第二話には〈日本語まがい〉と、原文には無い小見出しを付けました。第一話 : 夕食会に欠席の「理由」フランスに一時滞在する日本人の中にも、理解しがたい行動様式を示す人がときどきある。ストラスブールで、ある時、日本人が集まってある人の家で食事を一緒にしようということになった...