「十手(じって)」と「十進法(じっしんほう)」
- 2018/01/20
- 20:03
前篇の「十返舎一九(じっぺんしゃいっく)」に続いて、「十手(じって)」と「十進法(じっしんほう)」の読み方についても、ウェブ検索してみました。〈誤った読み方が昨今のネット空間で横行しているか否か〉を調べるのが目的ですから、いつもは【匿名である以上、信用できないから見ない】ことにしているサイト(*)も、この際、例外として訪問しまくりました。(*) 当ブログでは、匿名サイトのリンクを貼ったコメントは非表示処分とす...
十返舎一九(じっぺんしゃいっく)
- 2018/01/19
- 21:01
2015年5月7日付けのブログ記事〈「じっぽん」と「*じゅっぽん」〉に、2018年になってから、コメントが二通届きました。返信をしていて、疑問が一つ湧きました。【あの有名人の筆名の一部を成す「十」を読む時にも、もしかしたら〈「じっ」を「*じゅっ」で置き換える人〉がいるのだろうか】F爺の脳裡に浮かんだ「あの有名人の筆名」は、『東海道中膝栗毛』の作者の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)です。「十返舎一九」と「じっぺん...
「ら抜き」ではなく「ar抜き言葉」
- 2016/11/16
- 20:45
正誤表の広報F爺の著書に関して、正誤表の重要な部分の広報をします。『再構築した日本語文法』に一箇所、誤分析がありました。280ページの一番下から281ページにかけての小さな文字の部分です。謂わゆる「ら抜き言葉」の成因分析を誤ったのです。一年半前、2015年5月9日付けのブログ記事「正誤表・再構築した日本語文法」で訂正文を公表しましたが、不十分なようなので、改めて記事を立てることにしました。〈訂正以前の誤った分...
障碍
- 2015/07/04
- 18:42
火狐さん「日本語の変化速度」シリーズ、話題は尽きませんが、これを一応、最後の篇とします(後で追加の記事を立てる可能性はあります)。国家権力が日本語の変化に関わった例として、今日は「常用漢字表」の不備を取り上げます。「常用漢字」という言葉を浦島F爺が初めて聞いたのは、1988年の二度目の帰国の時のことです。制定は1981年だったそうですから、何と7年も経ってからです。《このまま浦島太郎と日本との縁はますます疎遠...
古池や
- 2015/06/21
- 18:53
フランス人の日本語学習者に、芭蕉の俳句の二句目を紹介するときは、こんなふうになります。 古池や 蛙(かはづ)飛びこむ 水の音「古池」と「古い池」の違いをまず説明します。「古い池」は、「新しい池」と対(つい)になりますね。造成した凡(おおよ)その年代の分かっている池が特定の地域に二つあるときに古いほうの池を差します。また、三つ以上あるときに一番古い池を差すこともあります。「古池」は、いつ誰が何のた...
岩にしみ入る蝉の声
- 2015/06/20
- 19:51
R君 火狐さん松尾芭蕉(1644~1694)などの有名な俳句を今年度も日本語の教材に使いました。例えばこの句。 閑(しづか)さや 岩にしみ入る 蝉(せみ)の声日本語を異言語として習っている人たちが相手ですから、語と接辞の一つ一つを微に入り細に亘(わた)って説明します。「しずか」は、歴史的仮名遣いでは「しづか」と書いたこと・・・漢字では「静か」と書くのが普通だけれども「閑か」と書くことも出来ること・・・送り仮...
日本語の変化速度(9)
- 2015/06/12
- 20:01
日本語の文法は、万葉時代から現代まで、一部の接辞の変化や交替があることはありますが、本質的に殆ど何も変わっていません(*)。ヨーロッパのいくつかの言語と比べてみましょう。(*) 例外として、「挟接辞」が消失しています。「な来(こ)そ」「な泣きそ」のように動詞を前後から挟んで一つの意味を表わす接辞は、現代語にはありません。文法上の性英語の名詞と形容詞には、古い時代には「文法上の性」というものがありました。名...