「フランス語が話せますか」
- 2013/12/31
- 00:17
フランス語圏で偶然に知り合った日本人に「フランス語が話せますか」と訊かれることがあります。昔々は警戒せずに「話せますよ」と答えたこともありましたが、最近の四十年間ほどは「どういう意味のご質問ですか」と訊き返すことの方が普通になりました。理由は、「当然のような顔をして無料奉仕を要求された上に逆恨みされたくないから」です。逆に言うと、期待した答えが得られないと分かって逆恨みする人が多いのです。自分で辞...
紅葉も木枯しも無い国
- 2013/12/31
- 00:07
この記事は、「春の嵐も梅雨も台風も無い国」の続篇です。前篇で、日本は地域に依って気候が違い、季節の数も違うという話をしました。「じゃあフランスも地域によっていろんな気候があって、季節の数もさまざまなのかな ?」ご名答 ! フランスには大雑把に、気候区が四種類あります。西岸海洋性気候、地中海性気候、落葉樹林気候、それに高山気候。西岸海洋性気候は、フランスの西側の大西洋沿岸に分布しています。メキシコ湾流を...
「外国語が話せる」とはどういうことか
- 2013/12/30
- 01:36
滞在している異国の住民や文物に対して贔屓(ひいき)になる人とそうではない人とがいます。フランスやフランス語圏の国に住んでいる日本人がフランス贔屓になり、ドイツに住んでいる日本人がドイツ贔屓になり、イギリスや英語圏の国に住んでいる人がアングロサクソン贔屓になって「この国(または地域)は、住民のこういうところが素晴らしい。あれが美味しい。こういう植物が綺麗だ。音楽も素敵・・・」と手放しで褒め称えることも頻...
春の嵐も梅雨も台風も無い国
- 2013/12/29
- 01:23
昔、日本に住んでいる友人からの手紙に「こちらは、そろそろ梅雨入りです。フランスの梅雨はいつ頃ですか」とあったので驚き、「フランスに梅雨はありません」と書き送ったら先方が驚いていました。また、最近、日本在住の別の友人が春一番のことをメールに書いてよこしたので「フランスには、春の嵐はありません」と返信したら、やはり驚いていました。次の便で「台風もありません」「ええっ」腰を抜かしたようです。緯度により、...
「フランスは住み良い国ですか」
- 2013/12/29
- 00:29
F爺が長年フランスに住んでいることを初対面の人に明かすと、「フランスは、住みよい国ですか」と訊かれることがよくあります。 「住みよい。気に入っている」か・・・ 「住みにくいけれど仕事の都合でもうしばらく住まざるを得ない」か・・・二つに一つの答えしか無いはずだと期待しているのでしょう。潤沢な資金があって遊び半分(か・・・遊び九割九分)で留学している人なら、言下に「住みよい」と答えるかもしれません。企...
Mehdi Zana著の『第五号刑務所』
- 2013/12/29
- 00:23
クルド人の書いた『第五号刑務所』という本の舞台は、トルコです。看守はトルコ人、囚人はクルド人やザザ人です。「夜になると40人もの囚人が4平方メートルしか無い室にぎゅうぎゅうに詰め込まれることがある。そのまま扉を閉じられて朝まで10時間ぐらい放っておかれる。立ったままである。呼吸さえ思うに任せない。そのうちに悪臭がし始める。我慢できずに尿を・・・あるいはもっと始末に負えない物を・・・漏らす者が出て来るの...
多重言語者と多重亜言語者
- 2013/12/28
- 00:29
『三上のブログ』の2010年10月19日付けの記事「闘う言語学者」がきっかけとなってお付き合いするようになった三上勝生(みかみ・まさお)さんと一緒に、2011年9月に、北海道を一周する旅をしました。「水際の旅」や「蝦夷鹿の子リリィ」という記事に詳しいことが載っています。その旅の途中、「二言語併用と二重言語とは違う」そして一般に「多言語併用者が多重言語者であるとは限らない」という話題になったとき、「新しい言語を第...
「影響(influence)」って何 ?
- 2013/12/27
- 03:06
2012年4月にある友人から届いたメールにこう書いてありました。・・・先日お会いした時にF先生は「『影響(influence)』は、強者が弱者に及ぼすものだ。日本に溢れている『影響』の用例の大多数は、『作用』とか『着想』とか『類似点』で置き換えるべきものだ」とおっしゃいましたね。あの後、気を付けていろいろな文章に接していますが、おっしゃる通り、「重力の作用で」と言うべきところを「重力の影響で」と言ったり、「○○から...
「ナイーブ」は褒め言葉か侮蔑語か
- 2013/12/27
- 01:10
(記事の中程に追記があります)「ナイーブ」は、本来はフランス語です。フランス語の「naïf/ naïve」(*)は、12世紀には「生来の」「本来の」という意味でした。16世紀には「ありのままの」「真実を伝える」という意味での用法が出現し、また哲学用語としては「経験に頼る」、美術畑では「素朴な作風の」「民芸風の」という意味になって現在に至っています。ところが、人物を形容する時には「初心(うぶ)な」「世間知らずの」「お人好...
「ギリシャ」と「ペルシャ」の表記
- 2013/12/26
- 01:11
(「マージャールオルサーグ」という表記に関して追記があります)(「グルジア」という表記に関して追記があります)前置き外国地名の表記には「揺れ」のあるものと無いものとがあります。慣用が固定していて「揺れ」の無い地名の例。 [国名]・・・・イギリス、インド、グルジア(*)、ドイツ、トルコ、ハンガリー、メキシコなど(*) 追記 2017年5月13日この記事を書いた2013年には、「グルジア」という表記に「揺れ」はありませんでし...