アルザスとドイツ
- 2014/02/28
- 01:56
アルザス諸語フランス東端、ドイツと国境を接するアルザス州(*)の住民の大多数の父祖の言語を、フランスでは「アルザス語」と呼び習わしています。スウェーデン語や英語、ドイツ語などを含む「ゲルマン諸語」の仲間です。(*) 日本の或る有名な「言語学者」が「アルザスは間違いで、アルサスが正しい」と著書にも書き口頭でも言い触らしていますが、何の根拠もありません。アルザス語は、地域差が大きく、遠く離れた村落同士では意...
複数論
- 2014/02/27
- 02:19
「佐藤さんたち」日本語には「佐藤さんと鈴木君と山田さんと高橋君」を纏(まと)めて差す言い方が幾つもあります。「佐藤さんたち」とも言えます。「鈴木君たち」とも言えます。「山田さんたち」とも言えます。「高橋君たち」とも言えます。この他、状況によって「○○様ご一行」「○○一族」「○○一味」など、いろいろあります。「高橋君たち」が「話者と同年輩か年下で高橋という苗字の男ばかり数人」という意味になることは、あること...
「彼、彼女」は寄生語彙
- 2014/02/26
- 01:03
(この記事は、2014年2月8日付けの記事「Political correctnessの猿真似」への補足です。説明の必要上、一部、内容が重複しています)下手な英文和訳で、機械的に英語の「he」を「彼は、彼が」などで、「she」を「彼女は、彼女が」などで置き換える人がたくさんいます。「彼」は、ヨーロッパ諸語の「三人称男性単数代名詞」(= 英語のhe, him、フランス語の il, le, lui、ドイツ語の er, ihm, ihnなど)の訳語として成立した語です。現...
津々浦々(後)
- 2014/02/25
- 02:25
S氏からのメールの要点は、「「津」とか「浦」という字は、地名や人名によくありますが、私は「津」とは、海岸線のところで海が急に深くなっているところであり、「浦」とは遠浅の海岸だと考えています」ということです。名の知れた出版社が出している「国語辞典」や「古語辞典」の「浦」に関する説明は、S氏の考えとは全く違います。ほとんど全部「浦は『入り江』という意味で『裏』と同源」だとしています。「転じて「海辺」をも...
津々浦々(前)
- 2014/02/24
- 02:42
前置き日本語で「うら」と発音する言葉と接頭辞に関して、最近、友人のS氏から次のようなメールが届きました。 日本語では「至る所」ということを「津々浦々」といいます。最近、これが気になったので、私の考えを述べ、御意見をうかがいたいと思います。 「津」とか「浦」という字は、地名や人名によくありますが、私は「津」とは、海岸線のところで海が急に深くなっているところであり、「浦」とは遠浅の海岸だと考えています...
時差症候群
- 2014/02/23
- 01:17
時差症候群というのは、謂わゆる「時差ボケ」のことです。東西方向の遠い国への飛行機旅行の経験のある方は皆さまご存じですが、往復二度の時差を消化するのは大変なことです。時差症候群そのものに加えて、気候の急変(*)、食材の抜本的な変化(**)、使用言語の交替(***)、生活のリズムの変化など、あらゆる面で瞬間的に別の環境に適応しなくてはならないのですから。(*) 北緯35度の東京から北緯48度のストラスブールに移動すると、...
「泡」と「粟」は発音が違う
- 2014/02/22
- 00:16
F爺の愛読する『三上のブログ』の2010年5月6日付けの記事「淡島神社、海子」に「詩人の吉増剛造の言」として「淡島の淡は泡であり、稗粟の粟であり、女の人の肌の粟立ち、粒立ちでもあると吉増剛造は言う」とあります。この説が成り立たないことは、ブログの作者である三上勝生さんに随分前にお伝えしてあり、折り返し「吉増剛造の件の発言では、淡島神社をめぐる民衆の語感や連想、それこそ「民衆語源」に焦点が当てられていたよ...
代名詞論
- 2014/02/21
- 01:44
前置き 日本語に「前置詞」や「冠詞」が無い・・・のは常識(この記事は、2014年2月8日付けの記事「Political correctnessの猿真似」に「あそびたりあん」さんがお寄せくださったコメントへの返信で予告した「代名詞論」です。日本語の文法で「代名詞」という品詞を立てる理由が無いことを説明します。但し「彼ら、彼女ら」については別の記事を用意します)日本人がヨーロッパ諸語を習う時に、「前置詞」とか「冠詞」とか、日本...
擬似栄養学
- 2014/02/20
- 05:00
1980年代に、アメリカ人(女)とフランス人(男)の太り過ぎの夫婦に「Atkins食」という食事療法を勧められたことがあります。初耳だったので「何も知らないから、試すわけには行かない」と答えたら、そのAtkinsというアメリカ人が書いたという本のフランス語訳を読めと押し付けられました。その次に会った機会に本を返しました。「どう思う?」と訊かれて「痩せる必要の全然無い私には無意味です。それに論理の破綻が随所にあります」...
取り敢えずビール
- 2014/02/19
- 05:02
1996年の夏のことです。前年の冬に秋田の友人AさんとBさんをヒマラヤ・トレッキング(*)に誘って案内したのでしたが、そのお礼だということで秋田市中心部のWホテルのレストランにご招待いただきました。(*) ネパールは冬が乾季です。日本と逆で「冬山が安全」なのです。三人が席に着いたところで、立派な制服を着たボーイの最初の口上が「飲み物を最初に決めてください」これには、困りました。F爺は、フランスでの、イタリアでの...