遍路道の迷いやすい分岐点(18)

前置き

遍路道で「物理的に迷いやすいわけではないが心理的に迷う分岐点」の考察を続けます。

本文

当ブログの記事〈遍路道の迷いやすい分岐点(17)〉で、
【歩きに徹する覚悟のお遍路さんが浦ノ内湾の巡航船に乗るのは構わないのか】
という設問を話題にしました。

そうすると避けて通れないのが
# 浦戸湾の出入り口の種崎の渡しと
# 四万十川の河口近くの下田の渡し
に乗って構わないのか否かという設問です。

種崎の渡し

種崎の渡しには、「県道278号線の一部を成す」という特殊性があります。そのため、無料で乗船できるのです。歩行者、自転車、125cc以下のバイクの乗船が可能です。

一方、浦戸大橋には、歩きに徹することを望むお遍路さんにとっては、
# 平らな部分が無く、きつい斜面を高度差50mも上り続けるのは足を痛めるし転倒の惧れもある
# 歩道が極度に狭くて危険
　## 特に自転車の人が歩道を走っている時に居合わせると「危険以上」
# 大風の時は、フェンスに両手でしがみ付かないと吹き飛ばされて車道に転倒しそうになる・・・などの重大な難点があります。

要するに歩行者のための橋としては落第・失格・圏外・話にならないのです。

加えて
# 種崎から長浜への渡し舟は、何百年も続いた伝統の遍路道の一部だから「昔のお遍路さんの想いを偲ぶ」には不可欠
# 浦戸大橋を歩いて渡ると2kmほど遠廻りになる
などの条件も考慮したくなります。

「橋があるのだから渡し舟に乗る必要も理由も無い」
とおっしゃるお遍路さんにも何人か遭遇しましたが、F爺は、浦戸大橋を
【歩行者のための橋のうちには数えない】
と決めました。

今後も、種崎の渡しが運航している期間であれば、浦戸大橋は渡らないことにします。

特定の橋が自分にとって「落第・失格・圏外・話にならない」と判断するか否かは、お遍路さんの一人一人がご自分でなさるべきことです。F爺は、どなたにも「浦戸大橋を歩いて渡るのは止めろ」とは申しません。でも、意見を訊かれたら
「F爺は、酷い目に遭いました」
とは答えます。

四万十川の河口近くの下田の渡し

下田の渡しの事情は、また別です。舟を動かしてくれる人に電話して予約しないと乗れないのです。

そして・・・
「2005年12月に廃止になった」
「2009年4月に再開した」
などと伝え聞いています。

直前に最新情報を得ないと乗れるかどうか分からないのでは、予定に入れることは出来ません。そのため、F爺は、一度も、下田の渡しを利用したことがありません。いつも四万十大橋を歩いて渡っています。

下田の渡しに乗ったことのあるお遍路さんの話を聞くと、
《一度は乗ってみたいな》
とは夢を描きますが・・・乗船料金のことさえも訊いてみたことがありません。なんだか縁は無さそうです。