遍路道の「旧土佐街道」(=貝谷峠を越える道)は荒れ放題だった

旧土佐街道

「黄色い遍路地図」の2022年9月版の22ページに、22番・平等寺と23番・薬王寺の間に、古い版には無かった「赤い点線の道」(*)が載っています。

(*)「赤い点線の道」は、「へんろみち保存協力会編」の黄色い表紙の遍路地図で歩行者専用路を示す記号です。

日和佐道路の「由岐トンネル」という表示と重なるように描いてあります。「貝谷峠」という、これも昔の版には無かった文字が印刷してあります。

現地に到着してみると、
【旧土佐街道を復元して歩行者専用の道にしたもの】
だという説明書きがありました。

《それじゃ、JR牟岐線の由岐駅の前を通るコースでもなく、星越トンネルを抜けるコースでもなく、これを行ってみよう。きっと楽しい道だろう》
と考えて足を踏み入れましたが・・・大変な目に遭いました。

雑草が生い茂り・・・

行程の全てに雑草が生い茂っていました。何ヶ月も・・・少なくとも梅雨時以来・・・誰も通っていないんじゃないかと思うほど、さまざまな草が所嫌わず繁茂していたのです。

巨大な竹さえも道のど真ん中に

雑草ばかりではありません。山道のど真ん中に巨大な竹が天を突くようにどっしり・どーんと・どどーーんと生(は)えていたのには、仰天しました。

加えて、安定しない石ころだらけで、歩きにくいことこの上ない。酷い道でした。
《雨が降っていたりその直後だったりしたら、滑りそうで、転びそうで、怖いだろうなあ》

誤情報だらけ

帰仏してからウェブ検索してみたら、意外や意外。旧土佐街道を素晴らしい道だと褒めちぎり・誉めそやし・宣伝する記事ばかりが並んでいます。

《こいつら、この道を2023年の梅雨明けの後で実地に歩いたはずが無い》
と強烈に・深く・怒りを籠めて、疑ってしまいます。

こんな悪路を軽々(けいけい)に遍路地図に載せるのは、止(や)めて欲しい・・・と、その行程を同行した洛北孫子亭さんもおっしゃっています。

歩き辛い山道を抜け、田井の浜に着いてほっとしましたが、梅雨明けの真夏にしか遍路道を歩くことの出来ない事情のある者は、二度と旧土佐街道を歩こうとは思いません。春や秋のお遍路さんの多い時期には、どなたかが草を刈り竹を伐採してくださる(*)のかもしれませんが。

(*) 遍路道保全の実情をまだご存じない読者のための注。

歩行者専用の山道は、地元の有志の方々が無償で草刈りなどをしてくださっています。どなたにも都合の付かない時期が長引くと、草ぼうぼうという状態になります。剪定用の鋏が設置してある箇所(#)ではお遍路さん自身が草刈りをすることも出来ますが、太い竹の伐採は無理です。

　　　(#) F爺が2023年に草刈り奉仕をすることの出来た場所は、「遍路日記2023」と銘打った書庫に
　　　入る記事で近日中に描写します。