富士と藤
- 2015/03/30
- 21:43
「粉雪」さんからのコメントの一節にこうありました。
>ある本で富士山の形が下がり藤の形に似ているから「ふじ」というのだという説明を見かけましたが、これは明らかな誤りでしょう。
おっしゃる通り、火を見るよりも明らかな誤りです。
こんな愚かな似非語源説は、放っておけませんので、ここですぐに一刀のもとに断罪してしまいます。
「富士」は、歴史的仮名遣いでも「ふじ」です。「藤」は、歴史的仮名遣いでは「ふぢ」と書きます。平安時代までの日本語では、はっきりと違う発音だったのです。
さらに、現代語でも音調(*)が違います。高い音調の拍を太字で表わすことにすると、標準語では、山岳名の「富士」は「ふじ」、植物名の「藤」は「ふじ」です(**)。混同の余地は、ありません。
(*)「音調」: 謂わゆる「*高低アクセント」のことです。日本語の音調は、「アクセント」とは違うものです。ブログ記事「音調(= mélodie)」をご覧ください。
(**) 女の名前の「藤」は、「ふじ」ですが、女の名前としては「雪」も「花」も「桃」も「里」も全て頭高の音調になりますから、問題が別です。
日本語史の知識の全く無い人のでっちあげた荒唐無稽な素人語源です。浅はかなこじつけに過ぎません。そんな本は、一顧だに値しません。紙資源の無駄遣いです。
山岳名や河川名の語源説は、殆(ほとん)ど全て眉唾です。語源のはっきりしている「昭和新山」などは、例外中の例外なのです。
愚かなド素人語源ごっこの例を「「泡」と「粟」は発音が違う」にも書きました。そちらも是非ご覧ください。
>ある本で富士山の形が下がり藤の形に似ているから「ふじ」というのだという説明を見かけましたが、これは明らかな誤りでしょう。
おっしゃる通り、火を見るよりも明らかな誤りです。
こんな愚かな似非語源説は、放っておけませんので、ここですぐに一刀のもとに断罪してしまいます。
「富士」は、歴史的仮名遣いでも「ふじ」です。「藤」は、歴史的仮名遣いでは「ふぢ」と書きます。平安時代までの日本語では、はっきりと違う発音だったのです。
さらに、現代語でも音調(*)が違います。高い音調の拍を太字で表わすことにすると、標準語では、山岳名の「富士」は「ふじ」、植物名の「藤」は「ふじ」です(**)。混同の余地は、ありません。
(*)「音調」: 謂わゆる「*高低アクセント」のことです。日本語の音調は、「アクセント」とは違うものです。ブログ記事「音調(= mélodie)」をご覧ください。
(**) 女の名前の「藤」は、「ふじ」ですが、女の名前としては「雪」も「花」も「桃」も「里」も全て頭高の音調になりますから、問題が別です。
日本語史の知識の全く無い人のでっちあげた荒唐無稽な素人語源です。浅はかなこじつけに過ぎません。そんな本は、一顧だに値しません。紙資源の無駄遣いです。
山岳名や河川名の語源説は、殆(ほとん)ど全て眉唾です。語源のはっきりしている「昭和新山」などは、例外中の例外なのです。
愚かなド素人語源ごっこの例を「「泡」と「粟」は発音が違う」にも書きました。そちらも是非ご覧ください。