馴鹿(トナカイ)と橇(そり)
- 2015/12/17
- 19:59
12月に入って、F爺の折り紙教室では、クリスマスに因(ちな)んだものを教えることにしました。
「紙を二枚使うんですけど、今日は、これを作ってみませんか」
と言いながら、鞄(かばん)から取り出した完成した「鹿」の折り紙を見せたら、一同
「まあぁっ」
「うわあぁっ」
目がきらきら輝いています。
「年度の始めに『折り紙は形だけだから、猫も虎も同じ。獐鹿(のろじか)も馴鹿(トナカイ)も同じ』っておっしゃってましたけど、それ、クリスマス・ツリーの下に置いたら馴鹿ですね」
「僕たちにも、もう折れるんですか。とっても難しそう !」
「折れますよ。まだ習っていない折り方は二種類だけだから、大丈夫です」
「その・・・角(つの)の所、もしかして鋏(はさみ)が入ってますか」
「入ってます。『兜(かぶと)』から作る伝統の『魚』と同じです。『鋏を絶対に使わない』ことに拘る人にとっては『B級の折り紙』ということになりますね」
「でも、綺麗だから、いいことにしましょうよ」
全員の意見が一致して、この日は「鹿」に挑戦です。
「『例の菱形』を二つ作ってください。前半身と後半身と別々に折って、後で組み合わせますから」
『例の菱形』というのは、鶴を折るときの「菱形の袋が二つ重なった形」のことです。もう皆さん、よく呑み込んでいますから、物も言わず、好みの色の紙を選んで『例の菱形』を折り始めました。少しの間、教室内は静寂。
一枚の紙で後足と尻尾を折ります。
「尻尾を細くするのに、こういう折り方をするんです。紙の縁(へり)をこの中央線に合わせながらこちらを折って三角に潰(つぶ)します。反対側も同じようにすると前の半分の広さになります」
二ヶ月前とは見違える速さで、全員、蹤(つ)いて来ます。教え甲斐のある人たちです。
前半身の「鹿の胸」を折り出すのは、みんな苦労しました。今までに見たことの無い折り方ですから、一瞬、何がどうなってそんな形が出来上がったのか、摑めないのです。二度、三度、四度・・・忍耐強くゆっくりゆっくり、折っては元に戻す作業を繰り返すと、だんだんみんな呑み込めて来ます。
前半身と後半身を組み合わせてみて、前足の長さを決めます。
「足の先の方は、この中に折り込むんです。ほら、丈夫な前足になったでしょう。すっくと立っているように見えます」
「ほんとだ。すごーい」
最後に、角(つの)の枝分かれだけは、鋏を使います。
「先生の馴鹿はすっくと立ってるけど、僕のは足を広げて頽(くずお)れてしまう。どうしてなんですか」
「重い分厚い本の下に一晩敷いておけばいいんです。見本の馴鹿は、昨日作って重しをしておいたから、今日はもう大丈夫なんです」
「あ、そういうことですか。いつもはこの場で作って見せるのに、これに限って出来上がってるのを鞄から取り出したのは、それだけの事情があったんですね」
頭の回転の速い人たちです。
みんなの初めての「馴鹿」が勢揃いしたところで、鞄からもう一品、取り出します。銀色の紙で折った「ゴンドラ」に銀色の糸を輪にして繋(つな)いだものです。輪の一端を「馴鹿」に括りつけると、
「橇(そり)だ !」
「どうやって作るんですか」
「作り方は、皆さん、知ってますよ。最初の日から」
「あ、もしかしたらゴンドラですか」
「ご名答」
「もう長いこと折ってないから忘れちゃったわ」
「復習しましょう。簡単なことですよ」
・・・というわけで、「ゴンドラ」を「橇」に見立てて、「橇を引く馴鹿」の完成です。
先週は、「馴鹿」の後、やはり紙を二枚使って作る「孔雀(くじゃく)」も教えたのでした。
今晩は、「馴鹿」と「孔雀」の復習をした後、「蝸牛(かたつむり)」を教える予定です。時間があれば「ひよこ」も。
「紙を二枚使うんですけど、今日は、これを作ってみませんか」
と言いながら、鞄(かばん)から取り出した完成した「鹿」の折り紙を見せたら、一同
「まあぁっ」
「うわあぁっ」
目がきらきら輝いています。
「年度の始めに『折り紙は形だけだから、猫も虎も同じ。獐鹿(のろじか)も馴鹿(トナカイ)も同じ』っておっしゃってましたけど、それ、クリスマス・ツリーの下に置いたら馴鹿ですね」
「僕たちにも、もう折れるんですか。とっても難しそう !」
「折れますよ。まだ習っていない折り方は二種類だけだから、大丈夫です」
「その・・・角(つの)の所、もしかして鋏(はさみ)が入ってますか」
「入ってます。『兜(かぶと)』から作る伝統の『魚』と同じです。『鋏を絶対に使わない』ことに拘る人にとっては『B級の折り紙』ということになりますね」
「でも、綺麗だから、いいことにしましょうよ」
全員の意見が一致して、この日は「鹿」に挑戦です。
「『例の菱形』を二つ作ってください。前半身と後半身と別々に折って、後で組み合わせますから」
『例の菱形』というのは、鶴を折るときの「菱形の袋が二つ重なった形」のことです。もう皆さん、よく呑み込んでいますから、物も言わず、好みの色の紙を選んで『例の菱形』を折り始めました。少しの間、教室内は静寂。
一枚の紙で後足と尻尾を折ります。
「尻尾を細くするのに、こういう折り方をするんです。紙の縁(へり)をこの中央線に合わせながらこちらを折って三角に潰(つぶ)します。反対側も同じようにすると前の半分の広さになります」
二ヶ月前とは見違える速さで、全員、蹤(つ)いて来ます。教え甲斐のある人たちです。
前半身の「鹿の胸」を折り出すのは、みんな苦労しました。今までに見たことの無い折り方ですから、一瞬、何がどうなってそんな形が出来上がったのか、摑めないのです。二度、三度、四度・・・忍耐強くゆっくりゆっくり、折っては元に戻す作業を繰り返すと、だんだんみんな呑み込めて来ます。
前半身と後半身を組み合わせてみて、前足の長さを決めます。
「足の先の方は、この中に折り込むんです。ほら、丈夫な前足になったでしょう。すっくと立っているように見えます」
「ほんとだ。すごーい」
最後に、角(つの)の枝分かれだけは、鋏を使います。
「先生の馴鹿はすっくと立ってるけど、僕のは足を広げて頽(くずお)れてしまう。どうしてなんですか」
「重い分厚い本の下に一晩敷いておけばいいんです。見本の馴鹿は、昨日作って重しをしておいたから、今日はもう大丈夫なんです」
「あ、そういうことですか。いつもはこの場で作って見せるのに、これに限って出来上がってるのを鞄から取り出したのは、それだけの事情があったんですね」
頭の回転の速い人たちです。
みんなの初めての「馴鹿」が勢揃いしたところで、鞄からもう一品、取り出します。銀色の紙で折った「ゴンドラ」に銀色の糸を輪にして繋(つな)いだものです。輪の一端を「馴鹿」に括りつけると、
「橇(そり)だ !」
「どうやって作るんですか」
「作り方は、皆さん、知ってますよ。最初の日から」
「あ、もしかしたらゴンドラですか」
「ご名答」
「もう長いこと折ってないから忘れちゃったわ」
「復習しましょう。簡単なことですよ」
・・・というわけで、「ゴンドラ」を「橇」に見立てて、「橇を引く馴鹿」の完成です。
先週は、「馴鹿」の後、やはり紙を二枚使って作る「孔雀(くじゃく)」も教えたのでした。
今晩は、「馴鹿」と「孔雀」の復習をした後、「蝸牛(かたつむり)」を教える予定です。時間があれば「ひよこ」も。